タンデム型の最新記録(2025年)
ペロブスカイト/シリコン2接合タンデムセルで33.9%の変換効率を達成。単接合シリコンの理論限界(29.4%)を大幅に超えています。
タンデム型太陽電池とは
タンデム型太陽電池(積層型太陽電池)とは、異なるバンドギャップを持つ2つ以上の光吸収層を積層した太陽電池です。太陽光は様々な波長(エネルギー)の光を含んでいますが、単接合太陽電池では1種類のバンドギャップしか利用できず、それより高エネルギーの光は熱として失われます。タンデム型では複数の層が異なる波長帯を分担して吸収することで、太陽光スペクトルをより広く利用できます。
なぜペロブスカイトとシリコンの組み合わせが最適なのか
上層:ペロブスカイト
バンドギャップ:約1.6〜1.8 eV
主に可視光(短波長側)を吸収。組成調整でバンドギャップを自在に変えられるため、シリコンとの最適な組み合わせを実現できる。
下層:シリコン
バンドギャップ:1.12 eV
ペロブスカイト層を透過した近赤外光を吸収。既に25年以上の耐久実績があり、産業インフラも整っている。
この組み合わせの理論限界効率は約45%とされており、実現可能な最も高効率な太陽電池構成の一つです。さらに、既存のシリコン太陽電池製造ラインにペロブスカイト層を追加するだけで実現できるため、移行コストも比較的低い点が重要です。
タンデム型の3つの接続方式
| 方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 2端子型(2T) | 2つのセルを直列接続。電流を合わせる必要あり | 配線シンプル・低コスト | 電流整合が難しく、光条件変化に弱い |
| 4端子型(4T) | 2つのセルを独立して動作させる | 電流整合不要・設計の自由度高い | 配線複雑・コスト増 |
| 3端子型(3T) | 中間端子を持つ新方式 | 2Tと4Tの中間的な特性 | 構造が複雑・研究段階 |
変換効率33.9%達成の意義
2025年に達成されたペロブスカイト/シリコンタンデムの33.9%という数値は以下の点で歴史的な意義を持ちます。
- 単接合シリコンの理論限界(29.4%)を5ポイント以上超過
- 従来の「最高効率」太陽電池(III-V族多接合)に匹敵する効率を、はるかに低コストな材料で実現
- 化石燃料との発電コスト競争力が一層高まる
3接合タンデムへの展望
ペロブスカイト/ペロブスカイト/シリコンの3接合構成では理論効率50%超も視野に入ります。各層のバンドギャップをそれぞれ約2.0 eV・1.6 eV・1.1 eVに設定することで太陽光スペクトルを3分割して利用できます。研究段階ですが、将来の「究極の太陽電池」として世界の研究機関が取り組んでいます。
主要メーカーの開発状況
| 機関・企業 | 達成効率 | 方式 | 発表年 |
|---|---|---|---|
| ロンドン大学(UCL) | 33.9% | 2T・4端子 | 2025年 |
| LONGi(中国) | 33.9% | 2T | 2024年 |
| KAUST(サウジアラビア) | 33.7% | 2T | 2023年 |
| HZB(ドイツ) | 32.5% | 2T | 2023年 |
| パナソニック(日本) | 29.7% | 4T | 2022年 |
実用化に向けた課題
- 大面積化:研究レベルの小型セルから実用サイズのモジュールへの効率維持
- ペロブスカイト層の耐久性:シリコン層(25年以上実績)に対し、ペロブスカイト層の長寿命化が必須
- コスト最適化:追加工程のコスト増を上回る発電量増加の実現
- 製造プロセスの統合:シリコン製造ラインへのペロブスカイト成膜工程の統合