宮坂力教授のプロフィール
- 所属:桐蔭横浜大学 特任教授・東京大学 特別教授
- 専門:光電気化学・有機薄膜太陽電池・光電変換
- 業績:ペロブスカイト太陽電池の世界初の実証(2006年着手・2009年論文発表)
- 受賞歴:Clarivate Analytics引用栄誉賞(2017年)など多数
ペロブスカイト太陽電池の発明
2009年、宮坂力教授は色素増感太陽電池の色素の代わりにペロブスカイト構造を持つ有機無機ハイブリッド材料(MAPbI₃)を用いた太陽電池を発表しました。発表当初の変換効率はわずか3.8%でしたが、この「塗れる光吸収層」という発想が後に世界を変えることになります。
発明の経緯
宮坂教授は2006年頃から色素増感太陽電池(DSSC)の研究で培った「液体電解質を用いた光電変換」の枠組みの中でペロブスカイト材料を試験し始めました。
- 2006年:ペロブスカイト材料の光電変換への応用の着想
- 2009年:『Journal of the American Chemical Society』誌に論文発表(変換効率3.8%)
- 2012年:韓国チーム(H.S. Kim, N.-G. Park)が固体電解質版で9.7%を達成し「ペロブスカイト太陽電池ブーム」が始まる
- 2013年以降:世界中の研究室が参入し急激な効率向上が続く
世界の研究への波及
宮坂教授の2009年の論文は当初引用数が多くありませんでしたが、2012〜2013年以降に世界中で急激に注目が集まりました。2024年時点で関連論文の引用数は数万件を超え、ペロブスカイト太陽電池分野は年間1万本以上の論文が発表される超活発な研究分野になっています。
ノーベル賞候補としての評価
Clarivate Analytics(旧トムソン・ロイター)は2017年に宮坂教授を「引用栄誉賞」受賞者として選定しました。この賞はノーベル賞受賞の有力候補を示すものとして知られ、宮坂教授はペロブスカイト太陽電池の実用化が進むにつれ、ノーベル化学賞あるいは物理学賞の有力候補として世界的に注目されています。
- 論文被引用数(Google Scholar):10万回以上(2024年時点)
- h-index:100超(世界トップ水準の科学者)
- ペロブスカイト太陽電池分野の「創始者」として国際学会での地位は確立
ノーベル賞への注目が高まる背景
ペロブスカイト太陽電池が商業製品として市場に出回り始めると(2025〜2026年予定)、その社会・経済的インパクトが明確になります。ノーベル賞は「人類に最大の利益をもたらした発明・発見」に与えられるため、再生可能エネルギーの普及に貢献するペロブスカイト太陽電池の発明は受賞理由として非常に説得力があります。
現在の研究活動
宮坂教授は現在も現役で研究を続けており、主に以下のテーマに取り組んでいます。
- 耐久性・安定性の向上:商業化の最大の障壁である長期安定性の改善
- 鉛フリーペロブスカイト:環境負荷を低減するスズ系・ビスマス系材料の探索
- タンデム型の設計:シリコンとの組み合わせで40%超を目指す研究
- 国際連携:欧米・アジアの主要研究機関との共同研究