2025年はペロブスカイト太陽電池が「研究から産業」へ本格的に移行する転換点となる年です。国内外の主要動向をまとめます。
2025年の主要トピック
1. 積水化学、商業製品の本格展開開始
積水化学工業は2025年に世界初のフレキシブルペロブスカイト太陽電池モジュールの商業量産を開始しました。
- 工場・物流倉庫の折板屋根向けに特化した製品
- 15%以上の変換効率(モジュールレベル)を達成しての量産
- 国内外の試験導入プロジェクトでフィールドデータの収集を開始
- 2026年以降の本格普及に向けた生産能力増強を計画
2. ペロブスカイト/シリコンタンデムの効率記録更新
2025年前半に複数の研究機関からタンデム型の新記録が報告されました。
- ドイツHZB研究所のLongiが共同開発したタンデムで34.6%(NREL認定・2025年3月)
- 商業用モジュールサイズ(1m²以上)での25%超達成の報告も相次ぐ
- パナソニックが国内タンデム研究で30%超を達成
3. NEDO・経産省の政策支援強化
日本政府のグリーンイノベーション基金が2025年も継続。追加支援措置が発表されました。
- 次世代太陽電池(ペロブスカイト)への支援総額が1,000億円規模に拡大
- 2030年までに日本シェア10%を目標とするロードマップを公表
- GI基金参加企業(積水化学・パナソニック・東芝・カネカ・シャープ等)への中間評価
4. 中国メーカーの台頭と国際競争激化
ペロブスカイト太陽電池でも中国メーカーが急速に存在感を増しています。
- Microquanta Semiconductor(帷盛科技)が100MW規模の生産設備を稼働
- LONGi、Jinkoなどの大手シリコンメーカーもペロブスカイト/シリコンタンデムへ投資拡大
- 中国の国家戦略(新エネルギー)でペロブスカイト関連に数千億円規模の資金投入
5. 鉛フリー材料の進展
環境規制(RoHS指令等)への対応として、鉛を使わないペロブスカイト材料の研究が加速しています。
- スズ系ペロブスカイト(FASnI₃系)で16%超の効率達成の報告
- ビスマス系・アンチモン系の新材料探索も活発化
- EUのバッテリー・太陽電池規制でペロブスカイトの扱いが議論の焦点に
6. 室内光発電製品の市場投入
IoT向け室内光発電製品の具体的な展開が始まりました。
- ENEOSと協力企業がIoTセンサー向けペロブスカイト室内光発電モジュールのサンプル出荷を開始
- 小型・薄型(名刺サイズ以下)のモジュールで室内照明から安定発電を実証
2025年の主要論文・研究成果
| 発表機関 | 内容 | 効率 |
|---|---|---|
| HZB(ドイツ)+ Longi | 2端子ペロブスカイト/シリコンタンデム | 34.6% |
| EPFL(スイス) | フレキシブルペロブスカイト(大面積) | 21.4% |
| パナソニック(日本) | ペロブスカイト/HIT タンデム研究セル | 30.1% |
| MIT(米) | 鉛フリースズ系ペロブスカイト | 17.2% |
| KAUST(サウジアラビア) | 単接合ペロブスカイト研究セル | 26.9% |